ヴィブラフォンと言えばミルト・ジャクソンのイメージが強いかと思いますが、実際のところ50年代を通じてモダン・ジャズのヴァイヴはミルト一色に支配されていたと言っても過言ではないでしょう。
しかし今回推薦するレム・ウィンチェスターが61年に不幸な死を遂げることがなかったならミルトの独走はなかったのではないかと思われます。
レムのプレイはミルトと同じくスィンギーな歌心を受け継いでいますが、より硬質でヴィブラートもそれほど強くなく緊張感を伴ったドライな表現が特徴と言われています。
本作は1959年の録音でトミー・フラナガン(ピアノ)、アート・テイラー(ドラム)、ウェンデル・マーシャル(ベース)の絶妙のバックアップが光りますが、何と言ってもベニー・ゴルソン(テナー・サックス)との共演が相性も良くレムの乗りの良さに何とも言えない心地よさがあってうっとりしてしまいます。
"If I Were A Bell", "Will You Still Be Mine", "The Dude" といったナンバーでジャズの素晴らしさや楽しさを感じさせてくれる内容で、耳を傾ける度に当時彼がもっていた可能性が未完成のうちに終わってしまったのが残念に思われます。
以前にこの欄で紹介したヴィクター・フェルドマンとともにヴィブラフォンの名手の作品を楽しんでみてください。
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(CD)