白人アルトの鬼才、アドリブの天才と評されるアート・ペッパーに関しては数々の名盤が挙げられますが、その中から敢えて今回はジャック・シェルドン(トランペット)との共作になる本作を紹介します。
録音は1980年で共作といえどもレーベルとの契約の関係であって実質的にはペッパーのリーダー・アルバムと考えて差し支えありません。当時アメリカではウエスト・コースト・ジャズのリバイバル機運が盛り上がっていて、日本のジャズ・ファンにも本作品は注目を浴びたようです。
例えば "You'd Be So Nice To Come Home To" ではかの歴史的名盤 「ミーツ・ザ・リズム・セクション」での同じ曲の演奏と異なり、ミディアム・アップ・テンポの演奏とは打って変わってミディアム・スロウ・テンポで原曲のバラード的な味をうまく生かしています。その他 "Softly As In A Morning Sunrise", "Broadway" などすべてのトラックにワクワクさせられますが、私のベスト・トラックは最後に出てくる "Minority" です。胸がしめつけられるくらい切ない哀愁を感じさせる素晴らしいパフォーマンスです。是非聴いてもらえたらいいなと思える作品です。
---------------------
( LP / CD)